鉄鼠の檻 (講談社ノベルス)



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鉄鼠の檻 (講談社ノベルス)
鉄鼠の檻 (講談社ノベルス)

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京極版「薔薇の名前」?

作者の意図は解らないけど、純粋な推理小説が読みたい人は、京極作品は避けたほうが良いのでは?と思います。
京極さんは従来のミステリーの定説をわざと壊そうとしてるように感じます。(反則っぽいこともかなりアリだし)
主体がころころ変わって、それが誰だか不明だったり、登場人物が前触れなく前後不覚に陥ったり、読者をよく混乱させてくれます。(そのイライラでつい先を読みたくなるのですが)
本作は好きな作品でしたが、あまりに長いので(いつものことですが)走り読みしかしてませんでした。
改めて読み直してみて、やはりこれは京極さんが書いた「薔薇の名前」かな?という印象を強くしました。
エーコの「薔薇の名前」は昔に読んだものだから記憶が定かではありませんが、〈孤立した寺院・不可解な僧侶の連続殺人事件・宗教の歴史や確執・鍵になる本の存在・坊主を惑わす女性や衆道〉等々、登場するキーワードに類似点が多いように感じます。
「薔薇の名前」では坊主がなぞ解きをしますが、あえて禅の僧侶に畑違いの陰陽師である京極堂を相対させるところがなかなか面白い。破天荒な探偵も僧侶に負けてないところが気持ちいい。
禅の「さとり」というものを+αの知識として楽しむならもってこいかと思われます。(純粋なミステリーを好む人には、こういう予備知識的なものはかちょっとどいかも)
本作が好きなら「薔薇の名前」にも挑戦して欲しいですね。

ひきこまれる冒頭

私が京極道シリーズの中で一番引き込まれた冒頭が
この作品です。

実際、僧侶の人間関係とか動機は理解できない部分も
ありますが、それを読者に納得させるようにページを
たくさん使い丁寧に叙述されています。

日本仏教の薀蓄は、レビューに書かれている方も多いですが、
非常に分かりやすいです。

変にパターン化しないのが、このシリーズの良さだと思いますが、
この作品もあっと驚きます。
読めば「禅」の理解が確実に進む。

シリーズ第4弾である今作は仏教、それも禅宗がテーマである。

個人的にはシリーズ中、『魍魎の匣』に次ぐ面白さだと思うのだが、おそらくこの作品は京極堂シリーズが好きな人でも好みがわかれるだろう。
まず、見た目からすぐ判断できるように、とても長い。
そして単に長いだけならまだしも、扱う内容が上記の通り「禅」なので、
興味を持てない人は読んでてただしんどい部分がかなりあると思う(笑)
逆にそれが禅や宗教に興味がある人だと面白いことしか書いていない、と感じる程の出来。
禅だけでなく、寺院で生活している人の生活がリアルに描かれているので、本作を読んだ後、京都や高野山をまわると余計に風情が理解できるようになった、と感じたぐらいだ。

文庫版の解説は、禅を本格的に研究している方が書いているのだが、それによると
京極堂の(つまり京極夏彦氏の)禅の本質についての理解は、正にその本格的な禅の研究者と
同じぐらいのレベルまでに達しているらしい(笑)
確かに、つまらん禅の解説書を読むよりも、本作を読んだ方が絶対にわかりやすいと思う。

つまり、これだけ面白い上に読んだ後は禅の本質が理解できてしまうという、(人によっては)嬉しい副次的効果を本作は持っているということだ。
個人的にはもっとそこに焦点が当てられて、もっともっと本作が評価されても良いんじゃないかなあと思う。

何度でも何度でも読みたい。
お好きな方にはたまらんでしょうが

ミステリーが好きなだけの人にはイマイチだと思います。
というか、キャラがの魅力が完成されていなければとても読み続けられませんでした。
禅自体が難解であり、それにまつわる膨大な知識を膨大なページ数に詰め込んだ結果
娯楽作としてはギリギリのラインの話運びになってしまったようです。

このシリーズは1作目から順番に読んでいるのですが、
もともとミステリーとしてはわりと強引なところがあったので、さほどそこには
期待していませんでした。
それにしてもこの作品はしんどかったです。
キャラが完成された箱の中での冒険なのかもしれませんが、ちょっと長すぎました。
次の作品もこの調子でしたら、このシリーズからリタイアしようと思います。


壮大な暇つぶし

ほとんどの知識は、マンガとミステリ小説から学んだ。
それ以外に知識の吸収のしようがない、と思う。

薀蓄たっぷりの京極堂シリーズは、う??ん、こりゃあミステリではなくマンガだろう。
しかもギャグマンガだ。
理屈を操るギャグ。
哲学の深遠はギャグマンガに通じるものがあるので、什麼生説破が理解できなくても、その感覚を味わえればいいと思う。
つーか、理解できるか!こんなもん!
全然、理論になってない。読んでて苦痛を感じるくらいでした。

・・・・でも、それが京極堂だから。
壮大なる暇つぶし。

それにしても、解決シーンの京極堂の登場を読むと常に、必殺のテーマが流れてしまう。
おもしろすぎる。



講談社
文庫版 絡新婦の理 (講談社文庫)
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