イギリスの家を語る
イギリス人の生活を、そのホーム・グラウンド「家」の歴史と構造そして機能などを掘り下げながら語っているユニークな英国生活案内がこの本。住宅専門のアーキテクトが書いた本なので、プロとしてのしっかりとしたビジョンと思い入れが、この本に、類書の英国案内書と一味違った豊かな特色を添えている。 著者のの英国での住居や友人知人の家を具に観察し、豊富な写真や図面を駆使しながら、住人の生活臭をも感じさせる真面目な描写と解説は、著者の人柄であろうか。 私自身、在英5年の間に、ロンドン郊外のデタッチド・ハウスに、一度移転したので都合2軒で生活した経験があるので、英国生活における住居の良し悪しを身にしみて感じており、この本を読んで、なるほどと教えられることも多かった。 吾が英国の友人達は、ロンドンで仕事をしていても、田舎に大きな住宅を持っていて、ロンドンにあるアパートから田舎に帰って週末を家族で楽しみ、月曜日早く出てくる人がかなり居たし、また、郊外に、庭付きの大きな邸宅を構えて電車で通勤する友人も多かった。それほど、英国人の自然に囲まれた住宅に対する思い入れは強いのである。 著者を感動させた英国のガーデンであるが、家の顔でもある道に面した小さなフロントガーデンと、生活と憩いの場である広いバックヤードの存在とその活用にこそ、英国住宅の豊かさの一つのヒントがある。日本庭園の良さもあるが、生活に密着したイングりッシュ・ガーデンの良さを学ぶのも、生活を豊かにする知恵を得るための一方法かもしれない。
TOTO出版
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