生と死のミニャ・コンガ



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生と死のミニャ・コンガ
生と死のミニャ・コンガ

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魂の存在を考えます。

すごい本です。
これを読むまで恥ずかしながら、そんな山があるとは知りませんでした。
中国奥地コンガシャン登頂の記録と事後の話です。
計画段階から衝撃的事故まで、そして事故後の記憶を辿りながら文章が綴られていきます。
作者の記憶、交信の記録が時系列的に整理された文体はとてもわかりやすく、同時にカメラ担当だった作者撮影の写真が読者にこの事故をはっきりと現実として伝えます。
内容は山岳事故の記録でありながら、人が生きる理由、そして魂の存在について読者に語りかけます。
松田氏の本でも頂上付近であるはずのない「鳥居」が見えたとの記述がありました。
魔の山は実在し、霊魂もやはり存在するのです。
後に残されたメンバー

この時生き残って帰ってきたチームのメンバーが帰国後精神的に背負ってしまった業を考えると、果たして自分がその立場だったらどうあるべきだろうかと考えてしまいました・・・。
その後、インターネットで北海道山岳会ミニヤコンカ登山隊が1997年5月2日午後0時50分、遂に頂上を制覇した映像が公開されていますが、その映像は感動的です。

今までのこの「ミニヤコンカ」へのアタックの歴史を考えれば、ただの「頂上制覇」だけではなかったでしょう・・・。
知られざる魔の山

私は、クライマーでも無いので、山岳登山に関しては詳しいことは知らない。しかし、日本にも多くの登山者を飲み込み遭難者を多く出している「白根山」等有名な難所はある事くらいは知っている。世界にも知名度は、それ程高くないがこれほど多くのクライマーを飲み込んだ「ミニャコンガ」があった事は、驚いた。宣伝文句では、鎮魂歌となっているが、読んで行くとこれらの死に至った経緯は、著者の危惧していた考え方と矛盾した他者の考えや行動から生じたというニュアンスが含まれており、本書は警鐘書とも取れる。即ち、登山意識や登山行動に対する万人への警鐘なのかもしれない。前半半分は、主に一気に多くの仲間を飲み込んだミニャコンガの登頂について詳細に記述されている。クレパス落下の恐怖や高山病との戦い等が生々しく描かれている。特に巻頭カラー写真が数枚掲載されているが、どれもが頂上近くの普通では到底撮影できない貴重な写真となってる。中でも、多数の仲間が一気に滑落へと追いこんだ、あの時の少し前の写真で綱一本でひっかかり滑落を免れた瞬間の写真は身が凍る。そして、前記で述べたように詳細な登山記録もさる事ながら、チーム内での意見・考え方の対立、メンバーの力量・登山経験についても記述されていて、それらの要因が今回の事故につながった一つの要因である。という事を意見を交えて論じている。6000m以上の山というのは、本当に一般世界とは切り離された世界だというのが分かる。
生と死を分かつもの〜なぜ生かされているのか?

1981年、北海道山岳連盟隊はミニャ・コンガに挑むが、八人が遭難。作者は仲間の滑落を目の当たりにする。ミニャ・コンガ登攀の記録のみならず、以後15年にわたって「なぜ自分は生き残ったのか」を問い続ける作者の魂の軌跡が描かれている。

「人とのつながりとは何か」「なぜ私たちは生かされているのか」、真摯な問いかけに答えてくれる貴重な一冊。この重い事実を真正面から受け止め続けた作者の生き様に感動。
本当のマストブック(必読書)

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山と溪谷社
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